FORCAS事業 インサイドセールスのすべて #Work As Inside Sales

第一線で活躍されているインサイドセールスのタレントの皆様に、リレー形式で執筆いただく連載企画「#Work As Inside Sales」。初回は、株式会社ユーザベースのFORCAS事業 インサイドセールス チームリーダー中井 なお氏に執筆いただきました。

この記事の著者

中井 なお/株式会社ユーザベース FORCAS事業 インサイドセールス チームリーダー

大学卒業後に上京しA8netのフィールドセールス、カスタマーサクセスを経験。エス・エム・エスのSaaS事業にてインサイドセールスに出会い、FORCASのインサイドセールスとしてユーザベースにジョイン。現在はSMB領域のインサイドセールスマネージャーを担っている。プライベートでは1児の父。

「ユーザベースが提供しているFORCASのインサイドセールスの内容を教えて欲しい」というお声を頂くことが多く、今回それに応える形で「FORCAS事業 インサイドセールスのすべて」と題して記事をお届けします。

目次

ISは組織のレベニューエンジンである

上記は私たちFORCAS事業のインサイドセールスチームが掲げているカルチャーです。ISは「育成機関ではなく組織のレベニューエンジンである」という点が私たちFORCAS ISの特徴になっています。

FORCASインサイドセールスチーム体制

インサイドセールスのチーム体制については、「エンタープライズ」「SMB」に分かれています。

エンタープライズは固定の企業、ネームドアカウントを決めたところへの開拓を行っており、SMBはそれ以外の市場全てを担当します。

システム連携図

以下図は、使用しているツールを表しています。

弊社のデータベースと「Salesforce」を連携させ、MAツールの「Marketo」と連携しています。

受注可能性の高い企業を特定し「ビジネスの起点を強化」

最初にターゲティングとオペレーションについて説明します。ターゲット戦略としては、ターゲットリストの根拠を明確にして、PDCAの質を高めるため、FORCAS事業内では自分たちのプロダクトを活用しています。一般的なターゲティングは、規模や地域、業界といったものになりますが、FORCASを活用することで、例えば「Salesforceを使っている企業」など、デモグラフィックデータ以外の情報を活用したターゲティングが可能になります。

ターゲットの根拠を共有言語化することで「組織間の連携を強化」

FORCAS事業では、マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスの全員が合意してターゲットを定めています。

「インサイドセールスからのパスする案件の見極めが甘い」「全然、良質なリードが取れない」というチーム間のすれ違いはよく耳にしますが、FORCASでは全てのチームが合意したうえでターゲットを定めているので、ゴールが共通のものになります。それを前提として会話をしているので、効率と効果の最大化が実現できているのです。共通のゴールがあることで、ビジネス(機会創出)に集中することができます。

ターゲットに対する戦術の実行を全部門で

やみくもにアプローチするのではなく、定量データをもとに各部門の役割に応じて適切な施策を意思決定しています。

(※数字はサンプルです)

FORCASでターゲットアプローチ状況を可視化し四半期単位で見直し

Tierやターゲットの種類は様々あり、四半期単位で見直しを行っています。Tierごとに各指標を定量的に分析し、受注確度の高いTierに集中するための取り組みです。

以下は実際のFORCASの画面です。(※数字はすべてサンプルです)

例えば「実際にターゲット Tier1の受注率は、今クオーターは高かったのか」といったポイントで見直しをしています。受注率が低い場合、ターゲットから外します。逆にターゲット外で受注率が高い領域があれば、ターゲットに昇格します。このようなオペレーションを敷き、クオーターごとに見直しを行っています。

例えば、Tier2はリードのカバレッジが非常に高く、マーケティングからすれば投資してもあまり費用対効果が得られないため、リードのカバレッジが低いターゲットに投資をする意思決定を行うこともあります。逆に、リードのカバレッジが全くなく接点が持てないターゲットについてはアウトバウンドという意思決定をします。まず対象先(who)を決め、どのようにアプローチするか(how)という順番で施策まで落とし込み、ターゲット戦略を立てています。

全体KPI設計及び管理

続いて、KPIについて触れます。

インサイドセールスのKPI

KPIに関しては、商談やパイプライン数を、セールスの人数やリソースに応じて変更しています。直近であればパイプライン数で変えていますが、少し前までは商談数を追っていました。その前は貢献MRR、育成中のメンバーが多いフェーズはアクション数を追っていました。基本的にはこういった変数を設定しつつ、商談数やパイプライン数を追っています。

また、組織の成長フェーズに合わせてKPIは変更しています。立ち上げ期に関しては量にフォーカスしていましたが、次のフェーズで質に転換し、KPIはターゲット企業のみ、という意思決定をしていました。さらに後のフェーズでは、マーケティング、インサイドセールス共に、指標は遠くとも同じくパイプライン数をKPIとしています。

目標から逆算した行動計画を全員が作成

商談から逆算してデイリーでどれくらいのコネクト数、コール数が必要かという部分は、マネージャーとメンバーで把握して、KPIを設計しています。これはその際に作成したスライドです。

以下図は全体の経路、チャネルの内訳を表しています。

PL創出チャネル一覧

インバウンドであれば、資料請求、ホワイトペーパー、セミナー経由が40%程度を占めています。掘り起こしであれば、失注企業からの掘り起こしとハウスリストからの掘り起こしが該当し、こちらも40%程度です。そして、それ以外のアウトバウンドが20%、という内訳になっています。

このアウトバウンドに関しては、コールドコールは一切行っていません。基本的にはリファラル、LinkedInやFacebookで繋がりを探したり、マッチングサービスなどの媒介パートナー、顧問を使ったり、お手紙送付などのアプローチがメインになっています。

図に「Tier優先」「Tierのみ」といった記載がありますが、アウトバウンドは基本的には成果報酬で1商談いくらという形になるため、ターゲットしか狙いませんし、ハウスリストからの掘り起こしもターゲットしか行っていません。

その他、SalesforceによるTierの進捗可視化、スプレッドシートによるチャネル別進捗も可視化しています。

リードマネジメント

続いて、リードマネジメントについて解説します。前述した通り、ターゲットTierの高いリードを優先してアプローチする他、リサイクルリードにおいては、定期的に接点を創出する仕組みを構築しています。

リードナーチャリングサイクルの構築

基本的に弊社のナーチャリングサイクルとしては、何かしらのコネクトやヒアリング、あるいは商談まで進んだケース、極端な話ですが受注して解約になったケース、これら全てハウスリストのリサイクルに戻るようにしています。

リサイクルの定点タッチの中で、ターゲットごとに訴求内容や休眠リスト数をダッシュボードで可視化しています。

失注商談に関するSalesからの申し送り事項

特徴的な点として、弊社において最も受注率が高いチャネルは失注企業の掘り起こしです。資料請求よりも受注率が高いため驚かれることも多い部分です。

上記のようにセールスが失注する際には必ず、「次にいつ掘り起こすか」「その際にどういったシナリオで掘り起こすか」というコメントを記載するようにしています。記載がなければフェーズをロストに変えてはいけないというルールです。逆に言えば、2022年12月が掘り起こし予定日だった場合、2022年12月に掘り起こされるレポートをあらかじめ組んでおき、そこでISにアサインすると、「たまたま予算がこのタイミングでした」という形でリードタイム早く決まることもあります。

弊社は決して安価ではないため、なかなか一度で決まらないこともあるプロダクト特性を持っています。そのため、先ほど示したPL創出チャネル一覧にある通り、ロストからの掘り起こしが圧倒的に高くなっています。

失注企業へのトークスクリプト

少し話は逸れますが、弊社は失注企業に対して有効なトークスクリプトを作成しています。

まずメールを送り、「以前、お打ち合わせの機会を頂戴したFORCASですが、覚えて頂いては…いませんよね?」、あるいは「実は今回、昨日メールをお送りした件でご連絡いたしまして、ご覧になっていませんよね?」といった質問でイエスを取りに行きます。次にラポール形成として「Why you、Why  Now」を当てて、ヒアリング&ディスカッションに移行し、クロージングという流れです。

このヒアリング&ディスカッションの最大化が、一番数値が取れるキーの部分になります。そこで、ヒアリング&ディスカッションに移行する際に何が重要なのかと考えた際、いかに強い「Why you、Why  Now」を作れるかがポイントです。

失注企業に対する「Why you、Why Now」で一番強いパターンは、「新しいもの」です。以前商談していた内容ではなく別の新しいサービス、あるいはアップデートなどの提示によって商談回数が高くなることが、データで出ています。

例えば「FORCAS Sales」という我々の新プロダクトの商談実績を確認し、未実施なら最初に「FORCAS Sales」を武器に提案します。FORCAS Salesの商談を行っていれば、Salesforceと一緒にやっている「FORCAS FORM」という新プランの訴求が可能か、人事異動情報のアップデート訴求が可能かなど、武器にできそうな新しいものがこのフローチャートに並んでいる状態です。

「Why you、Why  Now」については新製品や新機能を元にアプローチしていきますが、あくまで目的は「ヒアリング&ディスカッションの最大化」です。

ニーズに合った適切なプロダクトの訴求が大前提にあるため、先ほど提示したセールスからの申し送り事項も重要に加え、新しいものを当てて引きを作り、ヒアリング&ディスカッションに移行して、ニーズの合意をするのがルールです。型に沿うことが重要で、ルールがあるからこそ、新しく加入するインサイドセールスメンバーも迷うことが少なくなります。

マーケティングとインサイドセールスの連携

マーケティングとインサイドセールスの連携については、以下図の通りです。

インバウンド(Web施策)に関しては定例ミーティングで情報共有、セミナーに関しては開始前にミーティングを実施してすり合わせを行っています。メールによるマーケティングについては、こういったものをコミュニケーションしています。

マーケティングとインサイドセールスの連携

メルマガ施策

メルマガ施策については、基本的にMarketoと連携し、ターゲット Tier1に送付するメール文面、ターゲットTier2に送付するメール文面を用意して、配信分けを行っています。

企業からの一斉配信はよくありますが、どうしても広く浅いメッセージになってしまい、オプトアウトが起こることもあります。ターゲットに沿ったメールを適切に出し分けることで、弊社はオプトアウトほぼゼロという世界を実現できています。

コールアクション実例

Tier2向けのメールや製造業向けのメールなど、非常にたくさんのテンプレートを用意しています。

ターゲットか否か、ターゲットの優先順位で、トークの中身や強度を完全に変えています。ターゲットであれば絶対に受注に繋げたいため、あまりヒアリングできていなくともメールによる商談の打診を行います。逆にターゲット外からの資料請求の場合、ニーズをちゃんと見極めながら商談の打診を行います。判断するためのルールをしっかりと決めています。

 FORCAS用いたプッシュ型トークスクリプトへの応用の仕方

自社のデータベースを活かし、ラポール形成やトークスクリプトに応用しています。また、事例を当てて取る際、自社のデータベースを活用して出した顧客に近い事例を使ってクロージングすることもあります。

メールテンプレ事例一覧

メールでは、ターゲットごとにメールのテンプレートを作成しています。

メールテンプレの構成とポイント

メールテンプレート例は基本的に非常に短い内容になっています。また、当てる事例はターゲットごとに変えています。

テクニック的な話になりますが、例えば「嬉しく思います」というような、人が書いたような柔らかい表現を使うような工夫をしています。

以下テンプレートは、過去に送ったメールの中で最もコンバージョンレートが高かったものになります。

コンバージョンレートが最も高かったメールテンプレ

アウトバウンド事例と成功体験

FORCASはコンタクトの有/無で施策を設計

アウトバウンドでは、まずFORCASでターゲットを決め、ハウスリストにあるかどうかを可視化します。FORCASとSalesforceと連携することで、該当のターゲットのリードがSalesforce内にあるかないかが一発で分かります。SalesforceにリードがあればSDRが当たり、ターゲットであるにも関わらずハウスリストにない場合にはBDRが当たります。

具体的な施策決定とアプローチ

例えば以下表のように、Tier1のターゲット Tier1が800社あった場合、ハウスリストとホワイトリストの内訳を可視化します。ハウスリストに関してはメールマーケティングが実施でき、フィールドセールスではターゲットの属性に合ったトークなどの施策を決定します。

逆に受注率が高いターゲットであるにも関わらずホワイトリストになっている250社に関しては何としても当たりたいので、決裁者同士をマッチングする経営・営業支援の「チラCEO」などのマッチングプラットフォームをターゲットの属性によって使い分けたりする形で、BDRのアプローチを決定しています。

ハウスリストとホワイトリストの内訳を可視化

アウトバウンドの優先順位

優先度が一番高いのは、自社内での繋がりです。

例えばNewsPicks事業部の役員と繋がっていた場合、リファラルによる紹介依頼を行います。これはターゲットにしか行わないため、受注率が非常に高く、決裁者、もしくは決裁者に近いラインにアプローチができるため弊社の受注率の高い割合を占めています。

コネクション調査

コネクション調査については、具体的なやり方を記載しています。

FORCASでしているActNow

前述のスライドに記載してある方法で調査を行ったり、MSC(Marketo Sales Conncect)を常に開いたりしています。

Salesforceで調査結果を管理

調査結果についてはSalesforceで管理しています。

社内にコネクションがある場合

リファラル依頼を行う際の例は、以下の通りです。

「お疲れ様です。FORCAS〇〇です。〇〇さんに、FORCASのご提案機会いただきたいのですが、まず打診可能な関係性でしょうか?」

さらにメッセージのなかで、具体的に価値提供できることを提示した上で依頼を行い、実際に商談に繋げていきます。

社内にコネクションがない場合

社内にコネクションがない場合、様々なサービスを使いながらターゲット企業とのコンタクトを取っていく、というのがBDRの基本的なアプローチです。

成功&失敗施策事例

最後に、成功&失敗事例をご紹介します。

失敗施策事例

実は弊社も、初期段階ではABMと言っておきながら1日80〜90コールを掲げて量で勝負していた時期もありました。しかし、メンバーは疲弊する上に、「Why you、Why now」も乏しく、結果は散々でした。SMBの手紙施策もあまりうまくいきませんでした。送付後のフォロー人員を確保せずに手紙だけを送っても、結果はついてきませんでした。

また、エンタープライズにはエンタープライズなりの戦い方、アカウントプランの戦い方があるので、SMB同様には立ち上がるはずはないという点も失敗事例の一つです。

MarketoやSalesforceのようにスコアリングにチャレンジしたこともありました。しかし、例えば「資料請求で〇〇点」と決めてみても、予算が全然違うはずの大手の部長と個人事業主が同じスコアになってしまうなど、上手く運用に乗せることができませんでした。

成功施策事例

続いて、成功施策の事例をご紹介します。

1つ目の成功事例:ターゲティングと接点づくり

弊社はターゲット企業を精緻に決めるので、ターゲットと接点さえ取れれば間違いなく高い受注率で取ることができます。リファラルでも受注できるため、ターゲットであれば絶対に価値提供が可能になります。それを前提として、あえてアルバイトや新卒のKPIをそういったターゲット企業のセミナー誘致などに設定しています。セミナーにさえ呼べれば商談を獲得することができる状態を作れたのは、成功事例の一つです。

2つ目の成功事例:Tierのリファラル施策

前述したTierのリファラル部分です。Tierの決裁者にダイレクトに会えるため、最大の受注貢献チャネルになりました。弊社は最初、SaaSに絞って開拓していましたが、この施策で実際にたくさんのSaaS開拓ができました。

3つ目の成功事例:Slack通知による案件の共有

セールスがフェーズをロストに更新した際、必ずSlackでインサイドセールスに通知が飛ぶようになっています。その内容を確認してメモが書けていなければセールスに差し戻したり、「これ、私も別で繋がっています」ということが判明して、その人からルートが拓けることもあります。シンプルではありますが、誰でもできるSlack通知も成功事例の一つとして挙げたいと感じています。

以上、弊社のインサイドセールスについてご紹介させていただきました。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次