【Outreach導入事例】インサイドセールスの営業成果が8倍に SFA・MA活用を最大化する #vol.2

SFA(Sales Force Automation|営業支援システム)やMA(Marketing Automation|マーケティング活動の自動ツール、プラットフォーム)を導入したものの、上手く活用できていない、営業成果が出ない、そんな悩みを抱えている企業は多いと思います。

その場合、インサイドセールスが成果を出すための「ラストワンマイル」の実行要素が不足している可能性があります。

今回は、GLナビゲーション株式会社様のセールスエンゲージメントツール「Outreach」の導入事例をお届けします。SFA・MAツールでは実装しづらいインサイドセールスの活動管理を仕組み化、新卒入社メンバーが3ヶ月で8倍の営業成果を出した具体的な取り組みについて、代表取締役の神田 滋宣氏にお話をお伺いしました。

導入前の課題や導入後の成果、どのようなプロセスで営業プロセスを型化したのかなど、社長自らプロジェクトを牽引した実体験によるお話になりますので、ぜひご覧ください。

GLナビゲーション株式会社 代表取締役 神田 滋宣氏
GLナビゲーション株式会社 代表取締役 神田 滋宣氏

神田 滋宣氏の経歴
株式会社リクルート(現リクルートキャリア)勤務後、2009年にGLナビゲーション株式会社を設立。海外プロフェッショナルインターンサービス「GlobalWing」、外国人向けキャリア支援サービス「JapanWing」等の人材育成サービスとDXコンサルティングサービスを運営。

目次

導入前に抱えていた課題

――まず、Outreach導入前に抱えていた課題について教えてください。

神田氏:既存のSFAツールも自動化シーケンスの構築自体はできるものの、あくまでマクロ的なアプローチにとどまります。Todo設定の自動化や手動による一括メール送信はできるものの、その後の追客アプローチや自動配信まではできません。またMAツールを使えば顧客ステータスごとのメール送付やトーク内容別のメール配信を細かく設定できるものの、インサイドセールスが行う細かなアプローチを実装するのは非現実的で、ミクロのアプローチには適していませんでした。

*Outreachについて、詳細を知りたい方は以下の記事を参照ください。

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Outreach導入後の成果

――インサイドセールスが利用する「小回りが効くMAツール」のような位置づけですね。Outreachを導入後の成果面についても教えてください。

神田氏:定量面の成果としては、とある新卒メンバーの導入前の四半期売上を100とすると、導入後の四半期が800と、8倍の成果に繋がっており、投資対効果として大きな手応えを感じています。

定性面の成果としては「ハイパフォーマーに依存しない営業組織の構築」に貢献したことです。Outreachの導入によって「顧客の状況」に応じた営業アプローチの型を作ることができ、チームメンバーが営業組織の集合知(ナレッジベース)を積極的に構築する動きを取るようになりました。

SFA、MAツールは元々、導入しており、営業状況を可視化・分析するためのデータ基盤は構築していましたが、そのデータが収益に貢献しなければ、データドリブンな営業組織とは言えません。

Outreachは、システム上のデータと営業活動をリンクさせる実行部分(ラストワンマイル)を担う役割を持つため、組織成長に直接的に寄与する商談数や受注率などの指標を大きく伸ばす事ができたことが今回の結果に繋がったと思います。

大事なことは「顧客ありき」の型を作ること ハイパフォーマーからの気づき

――Outreachの導入はどのように進めていきましたか?

神田氏:導入後、営業アプローチにおける「誰に、何を、どのように」の部分を型化していきました。「誰に」についてはSalesforceのレポートで顧客をセグメント化し、「何を、どのように」の部分をOutreachのシーケンスで作っていきました。

その際、「顧客の反応=顧客のステータス」だと捉え、顧客のステータスごとに適切なアプローチを型化していくようにしました。そのため、シーケンス作成時の最初のゴールは、「顧客から反応を得る」に設定しました。よくある「アポイントを獲得する」の手前の部分に設定することがポイントだと思っています。

顧客の反応がある程度蓄積されてきたら、出現頻度が高く、成果につながる反応に絞って反応別にシーケンスをつくっていく考え方ですね。

例えば最初に架電アプローチを実施して「着電したケース/しなかったケース」、その後「反応が良かったケース/悪かったケース」等々、出現率が高いものをシーケンスに組み込み、自動化していきます。

Outreachにはトリガーと呼ばれる機能があり、顧客の状況に合わせて柔軟にシーケンスの発火、停止ができるので、弊社で構築している顧客戦略の仕組みをスムーズに体現することができました。

Outreach導入の障壁

―――マーケティングオートメーションを始め、顧客の反応をもとに分岐型でシナリオ設計するツールは多いですが、GLナビゲーション社では、なぜそのような考え方にいたったのでしょうか。

神田氏:実は、Outreach導入直後、社内のハイパフォーマーへの利用が浸透しなかったことがきっかけです。当初は、SFAで作成したアタックリスト(営業リスト)ごとにシーケンスを設計していたのですが、パフォーマンスが高い一部の営業パーソンの利用率が極端に悪いことがわかりました。

ヒアリングを重ねていくと、ハイパフォーマーは顧客のステータスに合わせた対応を行っており、営業リストを起点としたシーケンスでは、顧客への柔軟な提案ができず、ツールを利用しても効果がないと判断して利用を避けていることがわかりました。

そこからあらゆるアプローチを営業リストを起点とするのではなく、「顧客ステータス」を起点として運用することに切り替えました。

マーケティングオートメーションだと上から下に落ちるツリー型でシーケンスを設計することが多いですが、顧客がシーケンス通りに進むことは、まずありえません。仮に、営業側の都合で一方的にシーケンスを進めても機械的なメッセージにより顧客の心象を悪くし、将来の顧客を失う結果になったら意味がありません。

だからこそ、Outreachのトリガー型シーケンスのように、その時々の顧客ステータスを取得し、それに応じたメッセージを配信する仕組みが重要となります。

例えば、営業リストを起点にしたシーケンスは、以下の通りです。導入初期の頃は、弊社もこのような形でシーケンス管理をしていました。

▼営業リストを起点にしたシーケンス管理
(1)電話をかける(メールを送信する)
(2)提案する
(3)提案時の感触に関係なくリマインドする

次に、顧客を主語にした「顧客ステータス」を起点としたアプローチです。

▼顧客ステータスを起点にしたシーケンス管理
(1)電話をかける(メールを送信する)
(2)提案する
(3-1)提案に対して良いと思っている(悪いと思っている)
  →次のトーク、メールを展開する
(3-2)良いと思っていて、裁社者である上司と話そうとしてくれている(してくれていない)
  →次のトーク、メールを展開する
(3-3)決裁者本人がメールを見てくれている(見てくれていない)
  →次のトーク、メールを展開する

自社がしたいアクションをベースに一方的な対応するのではなく、顧客ステータス(顧客の目線)をトリガーに、トークやメッセージを出し分け、顧客にとっても自社にとっても有益なアプローチができるような型化を行っていきます。

こうした環境下で成果が出るのは顧客の反応を見るのが得意なメンバーで、わかりやすく売り上げが上がります。一方、顧客の反応を見るのが苦手な人は、顧客の反応を見るための方法を自分で学ぶようになります。

そして、顧客の反応に対して、「次はこういうアクションが必要なためシーケンスを更新した」という会話が組織内で増えていき、組織の集合知としての型が作られていく組織風土が作られるようになりました。

GLナビゲーション株式会社 インサイドセールスチーム

*インサイドセールスチーム目線でのOutreach導入ストーリーは以下の記事で話をお伺いしています。

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Outreachで型化しても、ハイパフォーマーとローパフォーマーは分かれる

――その瞬間の顧客状況を捉えたアプローチは、顧客の体験価値という観点からも素晴らしい取り組みですね。導入後、新たな発見や気づきはありましたか?

神田氏:導入後、面白かったこととして、Outreachで型化したプロセスで同じことを実践してもハイパフォーマーとローパフォーマーが生まれたということです。つまり、ターゲットをセグメントし、電話内容とメール内容を標準化しても差が生じます。

単にハイパフォーマーの行動習慣をオートメーション化するだけでなく、弊社ではその差分を分析し、営業プロセスの改善余地を見つけるツールとしても活用しています。シーケンスで作成した型をベースに定量的なデータを見ることで、差が見えやすくなり、営業チームがレベルアップする材料を発見しやすくなります。

例えば、Aという顧客に「A’提案」をして「B提案」を求めていると言われた際のローパフォーマーとハイパフォーマーの反応が対照的でした。

ローパフォーマーは、「A’提案」にニーズがないとそこで別の顧客にアプローチし始める傾向にありますが、ハイパフォーマーは「B提案」に関連する社内関係者と連絡を取り、顧客に「B提案」をしていました。

このように、ツール導入後、ハイパフォーマー分析を通じて、ラストワンマイルの精度を高め、やり切る組織を作れるかどうかが成果に寄与します。

また、ローパフォーマーの売れない要因を客観的に分析し、それを元に営業のオペレーションを組むことで、チーム全体の資産になります。できない理由の深掘りを行いがちですが、実はあまり効果はありません。前を向くためのコミュニケーション土壌を作るほうが組織は前進します。

そして、会話の全ては数字ベースで、起きている事象に対して会話を行うので個人を攻撃するコミュニケーションがなくなります。ローパフォーマーは、ハイパフォーマーとの違いを定量的に把握することができ、自分で改善点を探しながら変わっていくことができます。

Outreachを導入してわかったハイパフォーマー3つの特徴

――すべての営業活動が定量データとして蓄積されるからこそ、ハイパフォーマーとの差異が明確になったのですね。ハイパフォーマーにはどのような特徴が見られましたか?

神田氏:ハイパフォーマーには、自分の動きにしっかりとした型があることがわかりました。ここでは、特に顕著だった3つの特徴をご紹介します。

①顧客のメールへの返信スピードが速い

ハイパフォーマーは、とにかく顧客のメールへの返信スピードが速いです。ヒアリングをすると、メールボックスのチェックの頻度が高いという定量的な差異を発見しました。また、メールの確認頻度や時間帯を含めて、1日の動きがパッケージ化されていました。

②短い頻度で複数チャネルから連絡している

ハイパフォーマーは、短い頻度で複数チャネルを横断して顧客に連絡を取ります。闇雲にメールを送るだけではなく、電話やSMSを活用した複数チャネルを用いた連続性のあるアプローチをとっていました。

特に、SMSなどは普段使い慣れた電話・メールよりも顧客の記憶に残りやすく、マインドシェアが上がることで、電話での接続率も自然と上がる傾向にあります。

③最後まで諦めずにやり遂げる

ハイパフォーマーは顧客リストに対して複数回のメールを送るため、役割が異なる・時期尚早などの理由で連絡不要の場合には、「お断りの返信」を含めて、ステップを重ねるごとに顧客からの返信率が高まることに気が付きました。

反対にローパフォーマーは、全体の返信率は上がらずにずっと横ばいでした。本来であれば、返信率はステップごとに徐々に上がっていくはずなのですが、一定の返信率を超えるとその後は数字に改善が見られませんでした。

後からヒアリングしてみると、何回も電話することへの気まずさを感じステップを途中で終わらせており、反応が良さそうなリストに集中して連絡を取っていることが数字に現れていることがわかりました。

まとめ すべての企業がOutreachを導入したほうがいい

――最後に、Outreachを導入したほうがいい企業について教えてください。

神田氏:セールス組織がOutreachを導入しない理由がない、そう断言できるほど導入の威力は大きなものです。データドリブンな営業組織に変わりたい、ハイパフォーマーが辞めるとチームの営業成果が大きく下がるという企業にとって、Outreachは大きな助け舟となるでしょう。

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