Inside Insightとは?
Inside Insightとは参加人数1500名を超える、日本最大級のインサイドセールス従事者向けコミュニティです。4年前に立ち上げて以来、「ヒト、コンテンツつながる、みつかる」というテーマを元に、インサイドセールスに従事する方に向けてイベントやメディアの運営を行っているコミュニティになっております。
詳細は以下のnoteからご確認ください。
今回は、ARR100億突破した企業のオフィスで交流会 企画第4弾として、セミナー +パネルディスカッション+ オフライン交流会を株式会社SmartHRのオフィスにて開催した、インサイドセールス従事者向けのイベントのレポートを作成しました。
当日予定が合わなく、参加できなかった方も、セミナーの内容や交流会の風景をnoteでキャッチアップしてみてください。
【Inside Insight主催#6】キャズムを越えろ!事業ステージに適したインサイドセールス戦略を紐解く
特別セッション
テーマ①:キャズムを越えろ!事業ステージに適したインサイドセールス戦略を紐解く
ここでは、キャズム理論の概要と、キャズムを超えるべく必要なインサイドセールスのレベルとその4つの方法に関して解説頂きました。
登壇者:印南 貴弘 氏
株式会社SmartHR/インサイドセールス エンタープライズグループ
【経歴】
新卒で人材業界に就職。IT業界専任の人材紹介と学生インターン事業の立ち上げ・運営を行う。広告代理店へ転職し、合弁会社の立ち上げに参画。ITベンチャーに転職し、IS・FSを兼任。九州エリアの責任者を務める。2020年6月より株式会社SmartHR に参画。インサイドセールス部門にて、エンタープライズグループ所属
登壇者インタビュー記事:https://salesrobotics.co.jp/ownedmedia/20221013_1555/
キャズム理論は◯◯が一番大切。
キャズム理論とは、ウェブサービスやアプリの成長停滞を解決するためのマーケティング理論の一つです。テクノロジーの普及において特に重要で、顧客層をイノベーター、アーリーアダプター、アーリーマジョリティー、レイトマジョリティー、ラガートの5つに分類し、各層への訴求方法を考えるためのツールとして活用されるものです。
キャズム理論においては、『自分たちのセールスLevelが今どこにあるのか』を理解することが一番大切です。そのセールスLevelはISにおいては4つに分類されます。Level1~2はTPOで必要となる基盤部分、キャズムを超える際に必要となってくるのが、Level3~4です。
『as is to be』を明確にするビジョンセリング(≒対象が自分/自社)はLevel3に留まります。ここからLevel4に昇華するには、対象を顧客にする必要があります。
例えば、飲食業界において、物価高騰により自社事業における費用対効果を突き詰めることはLevel3です。そこから、自社がどんな強みをもっていて・どういう方向に進みたいのか・自社のサービスがどうお客様に力添えできるのかを考えることがLevel4(インサイトセリング)に昇華するということです。
キャズムの超え方(4つの方法)
キャズムの超え方は4つの方法があります。
①Sales Strategy 一企業なので、受注最大化、事業成長がゴールです。しかし、起点として売上だけを見るのではなく、Market攻略に必要な指標をKPI化するのが重要です。
②Sales Enablement これはオンボーディングではなく、研究/教育を経て数字が改善されたかを見るべきという意味です。特に重要な「戦略に紐づけて、何を伸ばすべきか」で、例えば、オブション機能をつけて売るしか予算を伸ばせない、受注金額をストレッチできないとなった場合、如何にしてオプションを伸ばすべきなのかを研究/教育するということです。
③People Manegement ティーチングとコーチングの使い分けが重要という意味です。事象が分かっていない人に対し、コーチングをしても詰問になるだけで、組織習熟度に合わせた設計が必要です。また、フィードバックで重要なことは「指摘は感情ではなく、コトに対してする」です。コトに向き合うことは、組織が大きくなった際のマネジメントの型になるという意味です。
④Culture building 当たり前の基準を高くするという意味です。評価を設け、思考とアクションを徹底するという文化づくりです。また、KPI/KGIを達成したかだけでなく、プロセスも褒める文化(=win-session)などワークも導入している企業もあります。
テーマ②:リード獲得に悩まされるインサイドセールス
ここでは、リード運用の根本的課題とその解決法を解説頂きました。
登壇者: 畠山 忠士 氏
Ryple株式会社 代表取締役CEO
【経歴】
新卒でグーグル合同会社に入社。SMB向け広告事業の立ち上げ第1号新卒社員として直販から広告代理店マネジメント、大手メディアとのアライアスパートナーを経験。その後、クラウド会計ソフトのfreee株式会社に社員30名規模のフェーズで入社。主にセールス・カスタマーサクセス戦略構築を組織マネジメントとしてリード。会計事務所向けセールス、マーケティング、事業企画を経てサポート組織改革による全社粗利改善など今に繋がる事業基盤を構築。その後独立しスタートアップから大企業まで約40社へのコンサルティングなど、SaaSビジネスの包括的な経験と実績を広く積み、2021年に次なる挑戦としてRyple株式会社を岩井と共同創業。
登壇者インタビュー記事:https://circu.co.jp/pro-sharing/professional/feature/tadashi-hatakeyama/
リードの問題、根本にある課題は何か?
結論から申し上げると、『過去リードがブラックボックス化』していることです。
事業計画に合わせて、インサイドセールスにも高い商談化件数が目標にセットされますが、アプローチすべきリードは限られています。では、今期はどこから数字を作れば良いのか、新規流入リード依存していて、いつもリードが足りない、いつか枯渇すると戦々恐々としていることは無いでしょうか。
その根本課題の発見の第一歩は『事業成長につれて、リードの内訳も変化する。』です。ホリゾンタル・バーティカルに関係なく、新規流入リードの貢献度は下がり、過去リード商談とアップセルクロスセル商談が引き上がっていきます。
しかし、前述を理解したとしても、次に「新規流入リード依存から脱却したいけど、対応できない負のスパイラル 」が発生します。
そこで、保有(過去)リードへのナーチャリングとしてMA(Marketing Automation)を活用するも、費用と運用コストをかけているがCTA、コンテンツDL、スコアリングなど、効果検証がよくわかららず、成果に繋がらない・・・ということはないですか。
リード問題を振り返ると、
ナーチャリングとしてのMA導入は最初は盛り上がるが、中途半端になりがち
・その先の評価、実装、行動までを可視化しないとナーチャリング効果が不明確
早いタイミングから過去リードからの商談化に再現性があると強い
・キャズム超えは新規流入リードだけだと厳しい
・新規流入リードだけで進めているといつのまにか達成不可能なラインに目標が到達していて詰む
リードが有象無象となることは確実なのでブラックボックス化させない仕組みを持つ
・これ自体はアップセルクロスセル顧客の商談獲得も同様の事象がおきるので第一に方法論を持っておくことが重要
【対応策】ブラックボックス化されたリードを資産化する
ブラックボックス化された見えていない企業を可視化することが解決策の糸口です。それにおいては顧客の状態はグラデーションで、それぞれにアクションを変える必要があります。
見えない企業を見える化するには3つの要素で体系的に評価します。この3つの賭け合わせにより、顧客の購買は生まれることを意識し顧客をステージ分けし可視化します。
それでは、この顧客たちをどう見つけるのでしょうか。
顧客をステージ分けし、PDCAを継続し有効手段をで表す
まず初めにやることは、リードから商談化の顧客ステージを仮説で言語化し、表を埋めることです。デモグラフィックは一定になることが多い為、サイコグラフィック・ビヘイビアルの具体的に設定し、仮説ごとにステージ管理します。
次にすべきは情報の収集と実行です。
SalesforceをはじめとしたSFA・CRMを導入していれば顧客データに紐付けて実装。デモグラフィックはデータベース、サイコグラフィックはサーベイや営業ヒアリング、ビヘイビアルはMA等で行います。取得した情報をもとに、顧客のステージ分けを行い、次のステージに移行させるための施策を実行し育てることを継続することがブラックボックス化したリードの可視化に繋がります。
テーマ③:パネルディスカッション
こちらでは、来場者の回答に即したテーマで上記の2名と工藤氏を招き3名のパネリストとファシリテーターの柿森氏によりディスカッションを実施しました。
パネリスト:工藤 慧亮 氏
株式会社IVRy / Sales Operations
【経歴】
大手金融機関のコンサルティング営業からキャリアをスタート。freeeにてインサイドセールスを中心にSaaSの世界にジョイン。 SmartHRにてインサイドセールス組織の立ち上げ、セールスチーム全体の組織開発(オペレーション・イネーブルメント・企画)に従事。IVRyではインサイドセールス組織、マーケと連携したナーチャリング組織、セールスオペレーション組織を担当。個人では10develops代表としてセールス・ISの仕組み化・Ops強化の支援に従事。
ディスカッション①
【解決】各事業ステージにおけるリードのプローチ手法に関して
印南:SmartHRでは顧客をステージ分けし、『バイブス』と呼ばれるラベリングを行なっております。主観ではなくお客様の状態(ユーザバイヤーに対して提案を受けてくれるのか等)でラベリングすることで受注率の向上を目指しています。加えて、人に関する情報でもスコアリングを行っています。スコアリングには行動スコア・属性スコアを設け、属性スコアはISが架電で情報を取っていき、人の情報として蓄積する必要があるモノです。行動と属性をそれぞれ掛け合わせラベリングを行っています。
柿森:具体的にはどんなデータを取るのでしょうか?
印南:自社のは秘密にしたいところですが・・・。笑
Salesforce社であれば『誕生日』とかがあります。対人の情報はWEBからは取得できないです。商談相手がどういう状況で、会社として役割でどういうポジションなのか。細かいデータを蓄積することで課題が何かの仮説が見え、キャズムを超えるのに効果があると思います。
柿森:ありがとうございます。工藤さんどうですか?
工藤:弊社の場合はISが4人とアーリー且つリードが潤沢にあるので企業ですので、ISは量をこなし、FSのリソースを埋めることが重要だと考えています。その為にも、FSとISが被る部分は何か、ISとしてどういうデータを溜めていく必要があるのかを考えることが重要だと思います。一般的にはここへの意識が少ないISが多いので、マネージャーと擦り合わせ活動の効果を最大化させる必要があると思います。
柿森:ありがとうございます。サイコグラフィックにおいて、ISとして人間が介在するところに価値を見出すために、これだけは聞く事項3選を教えて頂けますでしょうか。
畠山:興味関心好き嫌いですね。これは購買行動をプラスアルファで後押しするもののことです。他には、お客様への接触を行う中で、SPINをどれだけ横展開できるかが大事だと思います。お客様が、どういう状況で・どんな課題を持っていて・そこに対してどうしようとしているのかは、別に口頭でヒアリングする必要はなく、アンケートでいいと思います。前職(freee株式会社)では、プロダクト上でアンケートをとっていました。
例えば、会計プロダクトの既存顧客に対して、税務申告プロダクトのクロスセルを狙う場合。
・自社の経理をどの様な体制で行っているのか?
・今期あなたは法人決算を自社でやるのか?
を会計プロダクト内でアンケートを実施し、『今期、税務申告を自社でやろう』と回答した先をリスト化し、接触を行っていました。
柿森:完全ド新規はどうでしょうか?
畠山:ド新規に対しても、同様です。流入したリードに対してISが接点を持ち、アポイントを取ります。その後、サーベイを展開する名目でアンケートを実施する形です。
柿森:ありがとうございます。工藤さんはいかがですか?
工藤:ISしか取れない情報ですね。具体的には、担当者に影響力があるのかの情報です。例えば、同じ課長でも、『1万人規模の企業の課長』と『30人規模の企業の課長』とでは、影響力が違いますよね。他には、課題解決に対する熱意などです。この人がチャンピオンになり得るのかも重要だと思います。
印南:工藤さんと似ていますが、部門・部署・役職は会社に取って違うので、ここを聞きます。例えば、「御社の中でシニアマネージャーって何ですか?」ですね。どこまでの決裁権を持っているのか・何ができるのか・どういうミッションなのか個社ごとに違うので、ここを聞く必要があると思います。
他には、MBO(=目標管理制度)は聞いた方がいいと思います。ミッションとして持っているものが、どう評価されているのか、ミッションはトップラインを伸ばすのか・コスト削減なのか、どっちが評価にいいのかを確認することです。このミッションが理解できていないと、相反する動きになってしまうと思います。あなたの為にになるのかまで追求することが、人(IS)が介入する価値だと思います。
柿森:目標設定がどうなっているかを聞く必要があるのかということですね。ありがとうございます。
ディスカッション②
【組織作り】各事業ステージにおけるインサイドセールスのミッション、体制組織に関して
柿森:最後に各事業ステージのISのミッション体制組織に関して伺いたいです。例えば、SDRメインの組織においてBDRにも取り組むなどの、組織移行が多くの組織ではハードルが高いのではと思います。IS組織の移行をどううまく行っていくのかをお伺いできますか?
畠山:事業ステージに関わらず、向き合っているマーケットによると思います。どういう企業をどう落としていくのかの方向性が正しいのかという話です。最初のステージから後のステージでは、マーケットへの解像度が違うので、自分達のソリューションがどの業種・業態・規模、どういう役職にマッチするのかが不明確なステージから、他のターゲットにもマッチするという気づきの連続で組織はその都度変化させていく必要があると思います。
柿森:どのステージに関わらず、解像度を上げるためにもデータをとっておく必要があるということですね。
なんとなくデータがとれたでも積み上げが必要なフェーズもあると思います。そこから、データを活用するフェーズに変わるのはどういったきっかけなんですかね。具体的に何をどうしていくといいのか、こういうデータは取らなければとなるのはいつ頃なんでしょうか。
工藤:そのうちやらなきゃと思っているタイミングと、データがないと気づいた時ですね。良い感じに受注ができているけれど、失注も多いよね、あれ失注理由ないじゃん。そうしたデータが無いことへの『負』を感じた時がデータを貯める必要性を知るきっかけになると思います。
柿森:ありがとうございます。そろそろ締めのお時間です。最後に一言ずつ頂けますか。
印南:営業組織のあり方について追記したいと思います。デリバリーにおいてもマーケ〜CSをセグメントで横に組織を作ることが大切だと思います。初期は各部門ごとに最大化して数をとれば良く、分業体制は最適です。しかし、Tierごとに組織編成をするとき、横に組織を作っておくことが重要だと思います。
畠山:当たり前のことですが、『先にやっておいたことがいい系はやったほうがいい』ですね。課題に対する最善策は沢山あり、後でやっとけば良かったとなることは多々あります。情報収集して早期に実装することだ重要だと思います。
工藤:『ISでプロダクトの解像度が高いこと』が重要だと思います。IS-FS-CSにおいてプロダクトへの解像度の違いがあってはいけない、プロダクトを事業として伸ばすしていくという考えが大事でプロダクトに詳しくなることが、上手くいっているIS組織に共通することだと思います。
柿森:御三方ありがとうございました。パネルディスカッションは以上になります。それでは、交流会に移りましょう!
交流会
セミナーが終わった後の交流タイムでは、参加したインサイドセールスの実務者から管理職までの方々がお寿司を食べながら、名刺交換、意見交換を活発に行っておりました!
終わりに
インサイドセールスの実務者・管理職が集う第4回目となるARR100億突破したSmartHRのオフィスでの交流会の様子をお届けさせていただきました。
次回のイベントは、2023年11月9日(木)19:30-21:30で、
Sansan式インサイドセールス!現役のインサイドセールスマネージャーが語るSansanの強みとは!?
というテーマでインサイドセールスの皆様の今後のキャリアについて、Sansan株式会社のインサイドセールスマネージャーの古谷さんをお招きしてセミナー+オフライン交流会を実施します!
インサイドセールスに日々奮闘しているが、今後のキャリアについてまだ見えない、不安、、、という方にこそ来ていただきたいイベントになってます!
残り席数も残りわずかなので、ぜひお早めにお申し込みくださいませ!
▼ 本イベントは終了しております▼
今後もインサイドセールスの実務者向けに様々なイベントを仕掛けていこうと思っておりますので、ぜひまだ参加したことないという方も、毎回来ている方も今後もご参加ください!乞うご期待!!