Leaner Technologiesでインサイドセールス(IS)/マーケティングを担当している山下です。
昨今、SaaS企業では一般的になりつつあるインサイドセールス(IS)という組織。「THE MODEL」や「茂野さんの白本」でも解説されていて、IS組織の重要性は世の中的にも徐々に認識されてきているのではないでしょうか。
ただ、これまで発信されてきた情報はどちらかというと、
「既に営業人員が豊富な組織をいかにISとFSの分業制にするか?」
という観点での情報が多く、
「スタートアップで1人目インサイドセールスになったら何をすればいいんだ?」
というシンプルな疑問に答えられる情報は少なかったように思います。(私もIS立ち上げを行う際の情報収集にかなり苦労しました)
私は、まだ社員が5人だったLeaner Technologiesに1人目のISとして入社し、IS組織の立ち上げと責任者を任されることになりました。
自らの経験も少ない中で試行錯誤しながら組織を立ち上げ、現在は2名のISでエンタープライズ企業中心に月間60件以上の新規商談を安定的に創出できる状態を構築しています。
この記事では、Leanerにジョインしてからこれまでを振り返り、SaaS企業の1人目インサイドセールスが0→1の立ち上げで意識すべきポイントを5つにまとめて解説します。
失敗談・成功談どちらも書いているので、これからインサイドセールス組織を立ち上げようとしている企業の方にぜひお読みいただきたいです。車輪の再発明をなくし、業界全体が発展していくことに少しでも貢献できれば嬉しいです。
1.SFAを導入し、営業活動を会社の資産にする
インサイドセールスの立ち上げで一番最初にするべきはSFAの導入です。
SLG(Sales-Led Growth)型のプロダクトを売っている企業は、ISに限らず営業組織を立ち上げる時点でSFA導入はmustだと個人的には思います。
SFAを導入する目的は大きく以下の3つです。
- 営業活動の社内資産化
- IS・FSの生産性向上
- (将来的に)データドリブンな営業組織構築への備え
最も重要なのは1の営業活動を資産にしていくことです。IS・FS限らずですが、SFAが入っていないとシンプルに「誰が、いつ、どの企業と、何を話したのか」が分かりません。
これでは焼き畑農業的な営業になってしまい、組織人員を増やしても非線形に成長していくことができません。ISのコール履歴、FSの商談履歴はすべてSFAに何らかの形で残していくことを意識すべきです。
インサイドセールスは社内でも最もSFAに触っている時間が長いはずなので、顧客データの整備も重要なミッションの1つです。SFAへのデータ入力は様々な方法がありますが、データ入力形式はある程度将来を見越して整えておく必要があります。(もちろんターゲットが変わったりしたときには柔軟に運用を変えていくことも重要)
Leanerでも試行錯誤した結果、最低限下記項目があれば良いと思います。
- 顧客情報
- 会社名
- 氏名
- 電話番号
- メールアドレス
- 部署/役職(後ほど検索しやすいように選択式)
- 従業員規模(選択式)
- 会社URL
- リードソース(選択式)
- 商談履歴
- リードのフェーズ(継続的にISがフォローすべきか、ターゲット外でフォロー不要なのかが分かればok)
- アポ成功/失注理由(選択式が望ましいが、ターゲットやプロダクトが固まるまでは自由記述)
- 商談のサマリ・ネクストアクションなど(自由記述)
- (アポ獲得した場合)FSへの引継ぎ内容
多いようにも思えますが、ISとしては最低限上記くらいはデータ入力を徹底すべきです。
インサイドセールスはアポを取ることと同じくらい、正確な顧客データを蓄積していくことも重要です。SFAへのデータ入力の徹底は、IS主導で社内に啓蒙していきましょう。
何のツールがおすすめ?
私がLeanerに入った当初はすでにSalesforceがSFAとして導入されていましたが、0からツール選定も行う場合は石井さんのnoteがかなり参考になります。
個人的にはMiiTelもとても良いツールなのでおすすめ。コール履歴を自動で録音&文字起こし、クリックtoコール、SFAとの連携など一通り機能が揃っているので、ISの業務効率は劇的に上がります。お値段はまあまあしますので、ある程度ターゲットの顧客規模が大きく、アポ取得時点からの商談設計が重要な企業で最大限効果が発揮できるツールかと思います。
2.顧客理解を深めるためのinputとナレッジシェア
インサイドセールスは限られた2-3分の時間で顧客の興味喚起を行い、アポに繋げる必要があります。
特にPMF前のスタートアップはまだ世間に浸透していないプロダクトを売っている場合が多いので、よりシャープな提案が必要です。
そのためには自社サービスの理解はもちろん、顧客の業務理解や悩んでいることを知ることは不可欠。ターゲットとなる部署の方が身近にいれば直接業務課題を聞いてもいいですし、過去の商談履歴を振り返ることも必要です。
最近はオンライン商談を録画することができるようになったので、過去受注した案件や進行中の案件があれば定期的に録画を見て顧客理解を深める場を作ると良いと思います。
- 顧客が普段どんな流れで業務を行っているのか
- 業務上感じている負荷は何か
- どんなツールを使うことが多いのか
- 今使っているツールの不満はあるか
上記のような項目は業界別や部署別などで情報をまとめ、notionやesa、Confluenceなどのナレッジ共有ツールに蓄積していくことが重要です。
3.マーケ・IS・FSはあえて完全分業にしない
SaaS企業では「THE MODEL」型組織がスタンダードになってきつつありますが、ISを0→1立ち上げ行うフェーズではマーケ・IS・FSは完全に分業にしないほうが良いと思っています。
分業制にすればするほど、顧客理解の深さに職種で差が出てしまいます。(通常、FS>IS>マーケの順で顧客理解度に差が出ます)
スタートアップの初期フェーズではプロダクトや事業のピボットもありますし、顧客理解度に差がついている状態では、リード獲得>商談獲得>受注>カスタマーサクセスの一連のプロセスがうまく回りません。
特にある程度規模の大きい顧客がターゲットの場合、リード・商談ともにそこまで潤沢に獲得できるわけではないので、一つひとつの商談でPDCAを高速で回すことが重要です。
ISは自分が取得した商談には可能な限り同席すべきだと思いますし、アウトバウンドで取得したリード=商談となることが多いのでマーケとISは分ける必要はないと思います。
4.アウトバウンドでのリード創出体制を構築する
PMF前の「誰の、どんな課題を解決するのか」が明確でない状態のスタートアップでは、広告費をかけてもインバウンドでリードが入ってくることはほとんどないと思います。
必然的にリード獲得手段はアウトバウンドが多くなります。(ISではいわゆるBDR的な動きが増えます。)
- 決裁者への手紙アプローチ
- 投資家や関係者からの紹介
- LinkedInでのアプローチ
- コールドコール
など、自社のサービスに合ったアウトバウンドのリード獲得手段を構築することが初期フェーズのスタートアップの生死を分けます。
アウトバウンド施策はコスパが良くないと思われがちですが、スタートアップではアウトバウンドから逃げてはいけません。
いずれエンタープライズ企業を攻略する際には必須になりますし、日本を代表するような大手企業のアーリーアダプターの方との商談が獲得できたりするので、初期からアウトバウンドを行うことに慣れておくと、強いSales組織が作れると思います。
5.ウェビナーを定期開催する
コストがほとんど掛からず、新規リード獲得、既存リードのナーチャリング、進行中商談の促進、顧客満足度アップすべてに効くのがウェビナーです。
様々な施策の受け皿になるので、初期から取り組んでおくことが重要だと思っています。
Leanerではジョインした当初セミナーを一度も開催したことがない状態だったので、とりあえず自社単独で何回か開催してみましたが、リード獲得・商談獲得どちらも成果があまり出なかったです。
現在はほぼすべてのウェビナーを、ターゲットが近しい会社と共催で行っております。
役員、VC、他の社員からの紹介、SNSでDMを送る、ハウスリードの中でターゲットが合いそうな企業に連絡してみる、など、どんな繋がりを使っても構わないので、できるだけネームバリューのある企業との共催イベントを行う座組を作りましょう。
セミナーを定期開催していると、同じ業界内で「情報発信をちゃんと行っている企業」と認知もされてくるので、インバウンドで「一緒にイベントやりませんか?」という連絡が来たりもします。
※現在はほぼ週1で共催イベントを行っています。
注意点としてはターゲットに共通点がない企業と共催イベントを行っても、あまり有効リード獲得に寄与しないことが多いです。
ISとマーケを分けないほうがいいと書いたのはここにも理由があり、顧客接点が最も多いはずのISで得た知識をセミナーのコンテンツ設計、共催先の選定に活かしましょう。
最後に
ここまでお読みいただき、ありがとうございました!
この記事が少しでも皆様の業務の参考になればとても嬉しいです!
Leanerもまだまだ駆け出しスタートアップですので、SaaS企業のIS・マーケの方と積極的に情報交換したいと思ってます。
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